3月 宿泊交流会
3月10日(月)11日(火)に宿泊交流会を開催しました。
一日目は、ハンセン病について学びたいと国立療養所邑久光明園を訪問させて頂きました。
到着後、学芸員の太田さんから資料室の説明を受け、園内フィールドワークを受講しました。
その後、屋自治会長さまのおはなし、医師である青木園長さまの講義をお聴きすることもできました!
参加者全員、講師の方々のおはなしに真摯に耳を傾けておられましたね。
夕食を食べながら邑久光明園で感じたことをはなしあう有意義な時間も持てました。
二日目は、直島アートサイトを訪れ楽しみました。
アートを楽しみながら、街歩きをして、交流を深めた一日となりました!
それでは、参加者の感想もお読みください!
Dear Director,
Subject: Expression of Gratitude for an Enlightening Visit to National Sanatorium Oku-Komyoen
I am writing to convey my heartfelt appreciation for the profound experience I had during my recent visit to the National Sanatorium Oku-Komyoen on 10th March 2025. The comprehensive fieldwork and seminar provided invaluable insights into the history and ongoing challenges faced by individuals affected by Hansen's disease.
The tour of the facility was both enlightening and moving. Observing the living quarters of residents offered a glimpse into their daily lives. The visit to the small port, historically significant as the entry point for patients, was particularly impactful, point out the isolation many endured. Exploring the confinement rooms and ossuary further deepened my understanding of the hardships faced by patients in the past. These spaces, once places of great sorrow and fear, now serve as reminders of the resilience of those who lived there and the ongoing mission to raise awareness of the past injustices.
The seminar, led by Dr. Yoshinori Aoki, was exceptionally informative. The discussion on the legal battles concerning Hansen's disease patients shed light on the long-standing struggles for justice and acknowledgement. Learning about the discrimination faced during the COVID-19 pandemic highlighted the enduring stigma and the need for continued societal education, as the fear surrounding the transmission of COVID-19 mirrored the fear and misconceptions that once surrounded Hansen's disease, where individuals were unjustly treated as outcasts because of their condition. This parallel emphasizes the importance of continued societal education and awareness to break the cycle of discrimination. The seminar also clarified several misconceptions about Hansen's disease. Many people still believe it to be highly contagious, hereditary, or incurable. Learning that it is, in fact, very difficult to contract, that it is an infectious disease and not genetic, and that it can be cured with antibiotics was incredibly enlightening. These facts alone help break down the harmful stereotypes that continue to surround the disease, and I believe such education is crucial to erasing the dishonour attached to it.
I was particularly moved by the facility's role in encouraging for human rights. The acknowledgment of past injustices and the ongoing efforts to combat discrimination are commendable. The establishment of the Oku-Nagashima Bridge, symbolizing the bridge to human recovery, stands as a testament to the resilience and unity of the affected communities. Your commitment to preserving the history and dignity of those affected by Hansen's disease is truly inspiring. It’s clear that Oku-Komyoen is not only a place of healing for those physically affected by Hansen’s disease but also a place where social healing is actively pursued through education and support, and I look forward to sharing the knowledge I have gained with others.
Once again, I want to thank you and your team for the opportunity to witness firsthand the remarkable work being done and I remain deeply moved by the mission of promoting, understanding, empathy, and compassion for all individuals affected by Hansen’s disease at Oku-Komyoen. The work that is being done here plays a vital role in changing the narrative and providing a brighter future for those who have long been disregarded.
光明園の皆さん、こんにちは。
今回の研修会に参加し、国立療養所 邑久光明園を訪問する機会を得ることができ、本当に嬉しく思います。わずか半日という比較的に短い時間でしたが、太田さんがご案内になったフィールドワークを通じ、園内の施設やその背景にある歴史を学ぶことができました。さらに、岡山看護助産学校の学生の皆さんと一緒に、直接に青木園長からハンセン病の知識を聞き、いくつかそれに対する誤解を解くとともに、忘れてはならない過去の教訓について学びました。最後に、入所者自治会の屋会長ともコミュニケーションをとる機会もありました。ハンセン病や、今なかなか考えにくい過去の政策について、本当に勉強になりました。
正直言うと、この研修会に参加する前、私はハンセン病について詳しくなかったです。そのため、「感染症です」と聞き、症状を少し知るだけで恐怖感を持つことになった。まさに、園長が授業で話された6つの誤解の1つでした。しかし、実際に園内の施設を見学し、園長の講義を受けることで、私はようやく「恐怖は無知から生まれる」ことに気づきました。実は、本当に恐れるべきものは、人間の心でしょう。入所者の方々にとって、最も大きな苦しみをもたらしたのはハンセン病そのものではなく、まさに身の回りからの差別や政府からの抑圧、そして「科学」という名のもとで療養所の職員たちが行った身体的、精神的な苦痛ではないかと思います。(職員たちは決してすべてが悪いものではありませんが)
よく「歴史から学べる唯一のことは、人類が歴史から何も学ばないことだ」と言われます。五年前のコロナ禍の際も、同じような状況に直面し、似たような苦しみを味わった人々がいました。しかし、私たちは本当に同じ過ちを繰り返すしかないのでしょうか。確かに、すべての人が同じように理解し、共感することは難しいかもしれません。それでも、私は自ら過去の歴史を正しく認識し、自分にできることを実践し、身の回りで正義を貫くことができると信じています。そして、周りにそのような人が一人でも増えれば、過去に起こった悲劇を少しでも防ぐことができるのではないかと考えます。
今も、入所者や療養所を取り巻く問題はまだ多く残っています。私自身が、直接的に力になれないかもしれませんが、今回の研修会で得た知識や貴重な経験を回りの友達や家族に伝えていきたいと思います。そして、一日でも早く、ハンセン病をはじめとする病気に対する誤解が解消されることを願っています。
光明園の皆さん 本当にありがとうございました!
三月十日に市川奨学財団の交流会の一環として邑久光明園を訪れました。行く前に事前学習でホームページを見て、ハンセン病療養所についての基本知識を得ましたが、現地では文字上の情報だけではカバーしきれない大切なことをたくさん学びました。
着いた時、最初は学芸員の太田さんが資料室を案内してくださいました。そこでは、ハンセン病後遺症で目や手足が不自由になった方々が楽しくカラオケ大会をしたり、クラブ活動に励んだりする話を聞いて、少しほっとした一方で、行動が不便になった体に合わせてオーダーメイドで作られた様々な道具の展示を見ると、やはり立ち直るまで普通の日常生活を送っている私には想像もできない努力がなされているに違いないと思い、心を痛めました。私たちは当たり前のように読み書きしていますが、失明した方は点字の勉強を新たにしなければならず、手で読めないので「舌読」を行なっている方の写真を見せていただき、彼らの生命力の強さに感動しました。
当時入所する前に、家族に迷惑をかけないよう偽名を作っていたことにも非常に衝撃を受けました。病気にかかったというだけで、何の罪もない人々が普通の日常を奪われ、家や社会に捨てられた末、自分のアイデンティティとこれまでの思い出まで手放さなければならないのは、言葉にもならないほどあまりにも残酷で、非人間的な待遇でした。ユーモアを交えて明るく説明してくださっている太田さんですが、案内の最後に真剣な顔つきで「私も殺した一人です」との一言を淡々と述べました。現場で働いた方の言葉の重みは、その時ひしひしと伝わってきました。
その後のフィールドワークでもお世話になりましたが、家族の葬式を参加したくて脱走し、監禁室に入れられた患者さんや、豚の去勢手術をする医師に断種させられた患者さんのエピソードを教えてくださいました。自分自身にとってもつらい話をこれまで何度も語ってきて、そしてこれからも誰かが訪れる度に何度も語らなければならない太田さんですが、大変な思いをしながらも疲れた顔を見せないのは、やはりひとりでも多くの人に知ってほしいという気持ちがあるからでしょう。昔、日本語学校の担任の先生はよく私たちに「責任ある行動」を取るようにと常に言っていましたが、その時なぜかこの言葉が脳裏に浮かびました。
昼ごはん休憩の後にあったのは青木園長の講話でした。パワーポイントとレジュメを用いながら差別用語の使用への注意、ハンセン病についての誤解や裁判の歴史を分かりやすく具体的に教えてくださいました。その講義の導入部分で、新型コロナの時代における差別が言及されました。呼吸器疾患患者が重症化しやすいと聞き、喘息持ちの私も当時はパニックに陥り、差別につながる危険があるとも知らず、過剰に反応してしまったことがあると思い当たりました。正しい知識を身につけるのもとても重要なことですが、それだけでは足りず、感染への恐怖心や見た目への嫌悪感をなくすという心の持ち方も大きな問題だという、青木園長の言葉を肝に銘じ、将来新しい疫病が流行りだしたら、学習したことを活かしてもっと良く対応していこうと思いました。
最後に屋自治会長のお話を伺いました。優しい方ですが、権利を勝ち取るために厳しいパフォーマンスをしなければならないといった交渉の裏話を教えてくださいました。ご年配にもかかわらず、いまだに一市民、人間としての責任を果たし続けている姿に敬服しました。ハンセン病差別問題から、不条理な境遇に陥っても明るく生きようとする人間の強さと、簡単に疑心暗鬼になり、他人を傷つけてしまうという人間の弱さが浮き彫りにされました。今回の見学を通して、知ることの責任、そして語ることの責任を強く感じ、自分なりにそれを周りに伝えようと思いました。太田さん、青木園長、屋自治会長とすべての職員の方に心より感謝を申し上げます。
光明園の皆様へ
拝啓
幼少の頃、母の研究の影響でさまざまな微生物やウイルスと触れ合う機会がありました。当時の私にとって、細胞や細菌、ウイルスはただ顕微鏡で見る対象であり、教科書に書かれた単なる文字でした。その姿ははっきり見えましたが、その危険性についてはよく理解できていませんでした。
中学生になると、勉強の忙しさから徐々にそれらから遠ざかり、西アフリカでマラリアが流行したことや、中国の偉大な科学者が治療薬を発見したことも、ニュースや教科書を通してしか知りませんでした。当時の私にとって、感染症はただのニュースや教科書上の情報に過ぎませんでした。
しかし今、光明園を訪問し、かつて細菌によって隔離された方々と実際にお会いし、顕微鏡下の生き物が人間に感染する病気となり、歴史書の記述が目の前で語りかける人々の体験談になりました。抽象的な概念が具体的で生々しい現実になり、初めてその歴史の重さと人々が受けた苦しみを実感しました。
青木園長はハンセン病に対する誤解について丁寧に説明してくださいました。ハンセン病は恐ろしい強い伝染病でも、不治の病でもなく、遺伝もしないということです。むしろ免疫力の低下が主な原因であり、「らい病」という差別的な呼び方自体が問題であることも教えていただきました。科学的な知識だけでなく、このような病気への社会的態度についても深く学びました。かつて「四国遍路」のように患者を強制隔離した歴史とは異なり、2001年の裁判で国が敗訴した後は、患者の意志を尊重する形での治療がより重要であることを理解しました。
屋会長のご自身の体験談もまた私に深く響きました。32歳でハンセン病と診断され療養所に入られた時の詳細な経緯を伺い、質疑応答では「私たちがどんな質問をしても恥ずかしくない」、むしろ歴史を正しく伝えることが重要だとおっしゃいました。83歳を迎えられた屋会長が今後の希望を聞かれた際、「この歴史を後世に伝え残したい」と語られた姿には大変感銘を受けました。
大学時代には、新型コロナウイルスの感染拡大を経験しました。政府による隔離措置が行われ、多くの人が治療を受けられず亡くなりました。都市がロックダウンされた時、自宅に閉じ込められ、周囲の人が食料不足や医療を受けられない現実をただ見ているしかありませんでした。感染症の悲しさを身をもって体験した私には、ハンセン病と診断されたばかりの屋会長の絶望や苦痛は、当時の私よりはるかに深かったであろうと理解できます。それから50年が経ち、屋会長が過去のことを笑顔で語り、歴史の記録と継承のために努力されている姿に、未来への希望を見出すことができました。
貴重なお話と経験を共有していただき、深く感謝申し上げます。
拝啓
このたびは、邑久光明園を訪問する貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
私は現在、医学博士課程で研究をしておりますが、これまでハンセン病については、発病のメカニズムや病原菌について学ぶ機会はあったものの、その歴史的背景や人権問題について知ることはほとんどありませんでした。
今回の訪問を通じて、単なる医学的な視点だけではなく、患者の方々が直面した苦難や社会的な課題について深く考えさせられました。特に、病そのものよりも、それによって引き起こされる人権の問題の重大さを痛感し、大きな衝撃を受けました。医学の発展だけでは解決できない問題があることを改めて認識し、社会全体の理解と共生の重要性を強く感じました。
また、施設での展示や説明を通じて、患者の皆様がどのような状況の中で生活され、どのような思いを抱えてこられたのかを知ることができました。その中には、長年の偏見や差別に苦しみながらも、前向きに生き抜かれた方々の姿があり、大変胸を打たれました。そして、現在もなお、過去の歴史を語り継ぎ、正しい理解を広めようと尽力されている関係者の皆様の姿勢にも深く感銘を受けました。
このような貴重な学びの機会を提供してくださった皆様に、心より感謝申し上げます。今回の経験を糧に、医学の知識を深めるだけでなく、病気と社会の関係についても広い視野を持って考え、研究に取り組んでまいります。
国立療養所邑久光明園
青木園長、屋会長、太田様
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
先日は、見学の機会を設けてくださり、誠にありがとうございました。大変お忙しい中、丁寧に歴史を説明しながら私たちを案内してくださり、またハンセン病について解説してくださり、ご自身の経歴を語ってくださいましたこと、心より感謝を申し上げます。
青木園長の講義を通じて、ハンセン病の原因、症状、後遺症などの知識を大変勉強になりました。また、感染性が弱いことから隔離の必要性がないにも関わらず、国の誤った隔離政策やハンセン病患者が「醜い」などの社会偏見によって、罹患者が社会の居場所を失い強制的収容されたことを非常に悲しく思いました。ハンセン病やコロナなどの感染症だけではなく、どんな病気、障害であっても、決して差別してはいけないことを深く共感しました。
太田様から入園者の生活状況についてのご説明を伺い、納骨堂、寺町、しのびづか公園、小、中学校、患者桟橋、職員桟橋、監禁室などを訪れました。かつて、療養所で強制労働、堕胎、断種、監禁、死後解剖されたことが目に浮かび、目の前の出来ことのようで衝撃が止まりませんでした。「もし私が園内の医療職員でしたら、どうしていたでしょうか」と深く考えました。
屋会長に入園から現在に至った経歴について伺いました。隔離生活から解放され、色々辛い経験を乗り越えたことを尊敬します。また、入園者の代表としてハンセン病の歴史を語り、明るく微笑みながら丁寧に質問を答えてくださいましたことを感謝します。
色々貴重なお話を聞かせていただき、大変有意義な一日を過ごすことができました。最後になりますが、改めまして見学の際に案内してくださった皆様に心より御礼を申し上げます。皆様のご健康と邑久光明園の益々のご発展をお祈り申し上げます。